少年院送致はどれくらいの長さ?

刑事事件手続のQ&A

通常の刑事事件では、被告人が懲役何年の実刑判決を受けたなどのニュースが流れますが、少年の場合、どのくらいの期間、少年院に収容されるのかということはあまり聞かないと思います。

少年院送致になった場合、どのくらいの期間、収容されるのでしょうか?

少年院に収容される期間

処遇期間

特修短期処遇

4か月以内の収容

一般短期処遇

6か月以内の収容

長期処遇

  • 比較的短期 10か月以内の収容
  • 長期(通常の期間) 1年程度の収容
  • 比較的長期 通常の期間を超え、2年以内の収容
  • 相当長期 2年を超える期間の収容

家庭裁判所は、どの少年院に送致するかを指定しますが、その際には、通常、処遇期間についての勧告もします。期間についての処遇勧告がない場合には、1年程度の収容になります。

一般短期処遇の要件

非行の傾向がある程度進んでいるが、その者の持つ問題性が単純若しくは比較的軽く、早期改善の可能性が大きいため、短期間の継続的かつ集中的な指導と訓練により、その矯正と社会復帰を期待することができる場合です。

おおむね、次のような要件にあてはまる場合であるとされています。

  • 非行が常態化していないこと
  • 児童自立支援施設、少年院の施設収容歴がないこと
  • 反社会的集団に加入していないこと
  • 著しい性格の偏り及び心身の障害がないこと
  • その他短期処遇になじまない要因がないこと

特修短期処遇の特殊性

特修短期処遇とは、平成3年9月1日から施行された処遇で、開放的な処遇であることが特徴です。

特修短期処遇になるのは、一般短期処遇者よりも、非行の傾向が進んでおらず、かつ少年のもつ問題性が単純又は比較的軽く、早期改善の可能性が大きい場合です。下記のような要件にあてはまる者とされています。

  • 非行が常習化していないこと
  • 施設収容歴がないこと
  • 反社会集団に加入していないこと
  • 著しい性格の偏り及び心身の障害がないこと
  • 開放的処遇に適していること
  • 保護環境に関する大きな問題がないこと

収容継続申請

収容期間が満了しても、少年に心身に著しい支障がある場合や、犯罪的傾向が矯正されておらず、退院が不適当と考えられる場合には、少年院の長が、家庭裁判所に対し、収容を継続すべき旨の決定を求め、申請します(少年院法第138条)。ただし、特修短期処遇の場合を除きます。

そのため、必ず、上記の期間で出られるとは限りません

少年院の退院

少年院を退院するのは、次の場合です。

  • 収容期間の満了
  • 地方更生保護委員会による仮退院(少年院法135条)
  • 地方更生保護委員会による退院(少年院法136条)

多くの少年が、仮退院によって、少年院を出ると言われています。なお、仮退院後は、保護観察に付されます。

そもそも少年院ってなに?

少年院とは、家庭裁判所から保護処分として送致された者及び少年院において懲役及び禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、これに矯正教育を授ける施設のことです(少年院法第3条)。全国に52か所あります。

少年鑑別所との違い

少年鑑別所とは、

  • ① 家庭裁判所の求めに応じ、鑑別対象者の鑑別を行うこと
  • ② 観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者等に対し、健全な育成のための支援を含む観護処遇を行うこと
  • ③ 地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行うこと

を業務とする法務省所管の施設です(法務省のホームページより)。

全国に52か所あります。

少年鑑別所が、家庭裁判所の審判までの間、収容される施設であるのに対し、少年院は、家庭裁判所の審判の結果、送致される施設であるという違いがあります。少年鑑別所の収容期間は、おおむね4週間以内で、最大でも8週間とされています。

少年鑑別所に関しては、少年院法の中に規定がありましたが、2014年の少年院法の改正(施行は2015年)の際に、少年鑑別所法という新しい法律が成立しました。

少年院の種類

少年院は、少年の年齢、心身の状況及び非行傾向等を基準として、次の4種類に分けられています(少年院法第4条)。なお、2015年の少年院法改正によって、少年院の種類には、変更がありました。

第1種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない、おおむね12歳以上23歳未満の者(第2種少年院対象者を除く)が対象です。

改正前の初等少年院と中等少年院に相当します。

男女は別施設であり、女性の少年院は、女子少年院と呼ばれることがあります。

第2種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害はないが、犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者が対象です。

改正前の特別少年院に相当します。

男女は別施設であり、女性の少年院は、女子少年院と呼ばれることがあります。

第3種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がある、おおむね12歳以上26歳未満の者が対象です。

改正前の医療少年院に相当します。

第4種少年院

少年院において刑の執行を受ける者が対象です。

家庭裁判所は、少年院送致を決定する場合には、送致すべき少年院の種類を指定します。この場合、指定できる少年院の種類は、第1種少年院から第3種少年院までとなります。

少年刑務所との違い

少年刑務所とは、26歳未満の受刑者を収容する刑務所です。

函館少年刑務所,盛岡少年刑務所,川越少年刑務所,松本少年刑務所,姫路少年刑務所,奈良少年刑務所,佐賀少年刑務所の7施設があります。

逆送致によって、刑事裁判を受けて、実刑判決を言い渡された少年が刑に服するための施設であり、矯正教育を施すことを目的とする少年院とは違います

もっとも、懲役や禁固の実刑判決を言い渡された16歳に満たない者のうち、「少年院での矯正教育が有効」と認められた少年は、16歳に達するまで、少年院に収容することができます。この場合には、「少年院収容受刑者」と呼ばれます。

まとめ

少年院は、第4種少年院を除いて、刑罰を受けるところではなく、矯正教育を施すところです。そのため、懲役刑や禁固刑のように、「3年」とか、「8月」というようにきっちりとした期間が決まるわけではありません。少年院では、家庭裁判所の処遇勧告に従い(一般短期処遇、特修短期処遇の場合)もしくは、家庭裁判所の処遇勧告を尊重しながら(比較的短期の処遇の場合)、その期間で矯正教育を行うのです。

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