公判前整理手続きってなに?

刑事事件手続のQ&A

公判前整理手続きとは第一回公判期日前に事件の争点や証拠を整理する準備手続きです。

公判前整理手続きは、裁判が始まる前に事件の争点や証拠などを確認するため弁護側、検察官側、裁判官側を交えて確認する手続きです。

公判前整理手続きをする裁判は、重大事件や複数の被害者、複数の被告人が存在する複雑な事件などもあり、そのような事件で裁判がダラダラと長期化せず迅速かつ正しく適正に行われることを目的にしています

公判前整理手続きは導入されてから13年ほどしか経っていない新しい制度です。公判前整理手続きが対象としている裁判は、すべての裁判員裁判、被告人が無罪や無実を主張している否認事件、争点が多岐にわたり整理が望ましいと思われる事件などです。公判前整理手続きは公開・非公開など決められていませんが、ほぼ非公開の状態で行われています。

なぜ公判前整理手続きが始まったの?

公判前整理手続きは裁判員裁判制度の導入をにらみ始まった制度です。それまでの裁判は、5年、10年かかるほど長期化になっていたり、証拠や証人も複雑で裁判の行方も非常にわかりにくく多くの人から批判を浴びていました。

このような裁判だと裁判員は進行も分からず、何を審理しているのか理解することも困難で適切な判断ができる可能性が低いと考えられました。その為、実際に公判が始まる前に事件の争点や証拠を整理しスムーズに裁判が進むよう導入された制度になります。

公判前整理手続きでどんなことが整理されるの?

  • 訴因や罰条…これは、起訴状に書かれている犯罪の具体的な事実と犯罪と刑罰を定めた法律の条文のことです。
  • 事件の争点について確認する
  • 証拠の決定または却下、証拠の取り調べの順序などを決める…裁判所に提出された証拠品の数々を精査していきます。
  • 被害者参加の確認
  • 公判期日の決定や変更、進行についての必要事項

これらのことを確認し合うのですが、最近はこの公判前整理手続きに時間が掛かりすぎることが懸念されています。検察官・弁護士の書面提出に時間がかかったり、打ち合わせをするにもスケジュールが合わないなどの理由で間隔が空いてしまったりすることが要因だと言われています。公判前整理手続きが長引けば長引くほど、証人などの記憶が薄れてしまう可能性もあり、また、手続きが非公開の中、行われることで被害者側から不満が出ることもあるとのことです。

被告人も公判前整理手続きに参加することができます。

被告人が公判前整理手続きに参加することは可能です。裁判所は公判前整理手続きの日程を指定し検察官、被告人、弁護士に通知します。被告人が公判前整理手続きに参加することで、事件の争点が何であり、何をめぐり検察官と争うのか、証拠の整理などを理解することができるメリットがあります。

被告人が参加する場合は、担当の裁判官と裁判前に直接顔を合わせることになるので印象を悪くもたれないよう気をつけましょう。検察官の発言に腹を立て声を荒げたり暴言を吐いたりせず、冷静に対応することが重要となります。ただ、被告人には法律の専門的知識がないので法的なことが分からない場合も多く、もし発言したいと思ったら不用意な発言をせず、弁護士に相談することをお勧めします。

公判前整理手続は被告人にとって大きなメリットがあります。

この公判前整理手続きは、公判前に検察側の主張や証拠などを把握できるメリットがあります。弁護側は類型証拠開示請求といい、検察官側に類型の一定の証拠などを開示請求できます。請求で開示される証拠は以下のものになります。
  • 証拠物
  • 実況見分調書
  • 鑑定書及び鑑定関連証拠
  • 供述調書や録音・録画証拠

また、弁護側の主張に関連し弁護方針にも必要とされる証拠が検察側から開示されていなければ、検察官側へ主張関連証拠開示の請求もできます。この場合、類型に該当してなくても請求することができます。

検察官が何を問題にしているのか何について争うのかなどが分かれば、弁護側は弁護方針を変えたりなど弁護活動もしやすくなります。

もちろん、弁護側も検察官側、裁判官側に弁護の方針や証拠を明らかにしなければなりません。とはいえ、検察官側にいろんな証拠の開示を求めることができるのは大きなメリットになります。ただし、公判前整理手続き終了後は請求しなかった証拠を改めて請求することはできない制限が課せられています。

公判前整理手続きは被告人にどんな影響があるの?

公判前整理手続が書面だけのやり取りで行われる場合は被告人に影響はありません。弁護士がすべての手続きを進めてくれるので、弁護士からどんな状況なのか争点は何なのか聞き話し合うことができます。

また、公判前整理手続への参加も可能なのですが、実際は、被告人が発言することはほとんどありません。もし発言する機会があったとしても言葉使いには十分気をつけなければなりません。不用意な発言で不利益が生じる場合もあります。出席を望むのであれば事前に弁護士とよく相談することをお勧めします。

公判前整理手続きをした裁判では弁護士も冒頭陳述をします。

公判前整理手続きをしない通常の裁判では、弁護士が冒頭陳述をしないことがほどんどです。しかし、公判前整理手続きをした裁判は弁護士も冒頭陳述を行います。

この冒頭陳述は、裁判に提出された証拠により事実を証明すると予告することです。裁判員にとっても弁護側が語る被告人のストーリーを知るとても重要なものになります。裁判員裁判で選ばれた裁判員は、ほぼ素人で始めての経験のため緊張している方も多く、与えるインパクトがとても強いと考えられます。冒頭陳述を行う弁護士にもテクニックが求められます。しっかり内容を話し合いましょう。

アトム市川船橋法律事務所では逮捕された直後からご依頼を受けることができます。

公判前整理手続きは基本的に弁護士がすべてを行ってくれます。刑事事件に強く、経験も豊富で、適切な証拠開示請求をしてもらうことはとても重要です。どのような事案でも納得いく結果を導いてくれるよう依頼者と弁護士の信頼関係をしっかり築きましょう。アトム市川船橋法律事務所では経験豊かな弁護士が迅速な対応で依頼者の利益を守ります。

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