実況見分と捜索って何？

実況見分って何？

五官（目・耳・鼻・舌・皮膚）のはたらきによって、身体・物・場所などの存在・性状を認識し記録する処分を検証といいます。

そして、この検証を任意の処分として行うのが実況見分です。

具体的には、事件現場など事件に関係のある場所に警察官や検察官と被疑者・被害者・目撃者が一緒に行き、犯行状況などを再現してその様子を写真撮影したりします。

もっとも、犯行現場には行かずに警察の施設で行われる場合もあります。

これは、被疑者・被害者・目撃者の供述と犯行場所・犯行状況などとが一致しているかどうかを確認するために行われるものであるといえます。

どういう場合に行われるの？

実況見分は基本的に犯行現場が定まっている場合に行われるものです。

したがって、いわゆるオレオレ詐欺やネットを利用した犯罪など、犯行の現場が定まっていない犯罪の場合には実施されません。

実況見分の結果は裁判で証拠として使われることも

実況見分の結果は「実況見分調書」という書面として残されます。

そして、犯行の再現状況などを記載した実況見分調書は、裁判で証拠として採用される可能性が高いと言われています。

しかし、実際に実況見分をするにあたって、警察や検察がその実況見分の目的や重要性をきちんと説明してくれるとはかぎりません。

実況見分に立ち会う際には、事実を正確に述べるべきです。

よくわからない部分や記憶があいまいな部分などはその旨を伝え、警察の言うとおりに（いわば警察のシナリオに沿うように）供述してしまわないように気を付けましょう。間違った内容の実況見分調書が残ることは絶対に避けなければならないからです。

事前に弁護士に相談

実際に実況見分に臨むとなると、どのように振る舞えばよいのか戸惑うことも多いと思います。

事前に自分が疑われている事件について弁護士に相談して、実況見分が行われたときにどのように対応したらよいのかについて、アドバイスを受けておくと安心でしょう。

捜索

捜索とは、場所・物・人の身体に対して、物・人の発見を目的として行われる強制の処分（俗にいう家宅捜索）です。

捜索は拒否できるのか

警察官などが捜索を行うためには、裁判所の令状が必要です。

そして、裁判所の令状が発付された以上、これに基づく処分を拒否することはできません。

例外的に、裁判所の令状によらずに捜索が行われる場合があります。

逮捕とセットで捜索が行われる場合がこれです。

もっとも、逮捕に伴う捜索であっても強制の処分であることには変わりないので、拒否することができません。

したがって、いずれにせよ捜索を拒否することはできないということになります。

もし警察の適法な捜索に抵抗したり妨害するようなことがあれば、捜査対象の罪名と別に公務執行妨害罪が成立してしまう可能性があります。

どこでも捜索できるの？

令状があるとはいえ、どこでもかしこでも捜索することができるというわけではありません。

捜索は裁判所の令状に基づいて行われますが、この令状には捜索すべき場所が記載されています。

したがって、そこに記載された場所に限って捜索することが許されます。

もっとも、逮捕に伴って令状なしに捜索が行われる場合には、逮捕の現場において捜索をすることが許されています。

この場合、被疑者を逮捕したその場所で捜索が行われることになります。

警察は突然来る！

捜索は、原則として令状に基づいて行われます。

警察官などは、必ず令状を見せてその内容を読み上げてから捜索を開始します。

突然のことで動揺しているかもしれませんが、このときに落ち着いて令状の内容をしっかりと確認しましょう。

警察官が令状を見せてくれない場合は、「令状を見せて下さい。」と言いましょう。

捜索には予兆がある！？

捜索は、突然予告なしに行われる場合がほとんどです。

ある日いきなり警察が家に来るというわけです。

とはいっても、捜索の前には何かしらの予兆があることが多いのです。

というのも、警察官などは、捜索を実施する前に一定の捜査をして証拠を集めています。

被疑者に任意同行を求めたり、関係者の事情聴取をしたりしているのです。

このような警察の捜査の動きを手がかりにして、後に捜索を受けるかもしれないと予測できることがあります。

警察への対応には注意！

捜索は、財産権やプライバシーを侵害する強制の処分です。

警察が家を訪ねてきて捜索を行えば、近所の人にあなたが警察に何かの事件で疑われていることが知られてしまう可能性がありますよね。

ですから、できれば捜索を受けることのないように、警察に対して適切な対応をしておく必要があります。

早期に弁護士に相談して対策

捜索には何らかの予兆があることが多く、捜索が行われる前に適切な対応がとれるかがポイントです。

しかし、任意同行等、事情聴取への対応や被害者との示談を専門知識のない本人が自分の判断で進めていくことは難しいでしょう。

犯罪の疑いをかけられた場合には、なるべく早く弁護士に相談し、その後の対応策についてアドバイスを受けておくことをおすすめします。

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